■2025年4月 森慶太の投稿記事



●2025年4月1日 F1 Teacher

元記事 Doing lines...

F1ドライバーに運転を教えるおじさんがインタビューを受けて話してます。

こういうの、好きでしょ(俺は好きです)。


F1ドライバーに運転を教えるおじさんが出てくるYouTube動画、いくつかを再生リストにアレしました。

 

Rob Wilson YouTube再生リスト By 森慶太



●2025年4月2日A プリメーラ

これは、撮るよね。

アキバのガード下の、P10プリメーラさん。



●2025年4月2日B プリメーラ

都はるみ

 

元記事

ミナルディの契約は「EJのおかげ」とウエーバー。「どん底から救ってくれた」恩人を偲ぶ 

https://www.as-web.jp/f1/1196771

By autosport web



ドイツのテレビ局(ZDFですかね)が放映してたテストドライブ番組Autotest のなかの、これはルノー16回。1966年。

ドライバーというかレポーターはライナー・ギュンツラーさん(この何年か、または十何年かのちにポール・フレールさんに交代します)。

で。

この動画の9:23から11:42にかけての2分20秒間ほどの部分のナレーション(ドイツ語)の字幕(英語)を書き写しました。

なんでそんなことをしたかというと、読んでてオッと思ったところがいくつかあったからです。

The statement that in France, particular emphasis has always been placed on suspension comfort is not new. 

The Renault 16 has particularly long sprig travel:200mm at the front and 300mm at the rear.

In order to counteract even short bumps on extremely bad roads, the Renault 16 uses an unusual system of various rubber bushings and rubber blocks.

A system that an excellent effect is achieved and the bodywork remains largely vibration-free even when the chassis is subject to heavy loads.

A look under the bodywork shows part of this construction.

Renault uses crank arms for the rear wheel suspension.

Transverse tortion bars are placed in parallel tubes to absorb horizontal vibrations.

A high degree of radial compliance was achieved.

The opposing rubber mounting has no radial compliance, resulting in only insignificant directional shifts.

For a long time, the opinion has been established that vehicles that lean sharply around bends are not roadworthy.

This view can be described as incorrect with a clear conscience, and not only in the case of the Renault 16, whose strong body tilt may make a spectacular impression.

In fact, for the observer and driver, it is only a matter of getting used to it and does not negatively affect driving safety and cornering stability in any way.

The roll is nothing other than the result of the soft suspension.

The car never suddenly breaks out in any situation.

It is easy to control.

Anyone who has dealt with front-wheel drive cars will note a particular positive aspect:sudden release of the accelerator in a bend only imperceptibly affects the vehicle.

When cornering quickly and irregularly, one wishes for a different, less indirect steering ratio, which was probably foregone in the Renault in favor of smoothness.

読んでていちばんグッときたのは、後ろアシの仕組みというか設計について説明してる部分でした。

形式はフルトレーリングアームでバネは横置きトーションバー

……ってだけだと特にどうということもないですが、

前後方向のコンプライアンスをしっかり確保しながらトー方向の変位は最小限に、乗ってて気にならないレベルに抑えて、クルマをまっすぐ走らせる……ための工夫がしっかりされてることがわかってムネアツという。

形式はちょっと異なりますが、そのへんの工夫というか配慮というかは、たとえばカングー1やメガーヌ1なんかの後ろアシにも似たようなカタチでちゃんと入っております(そこらのTBAとはハッキリ違います)。

なので、「ああ、これ(ルノー16の後ろアシ)からの流れでああ(カングー1やメガーヌ1やの後ろアシ)なったんだな」ということがわかります。

でもって、カングー1やメガーヌ1に使われてるタイプの後ろアシ、乗ると、ものすごくイイんです。眺めてるだけでもステキですけど(「うわー横剛性高そう」ってなります)。

あとそう、忘れちゃいけない。

この動画の字幕を読んでいて最初におおってなったのは、前後の「スプリング・トラベル」の数値が紹介されたときでした。

フロント:200mm

リア:300mm

さんびゃくミリ!!


●2025年4月11日 クラッチ横ずらし

モーターファン・イラストレーテッドVolume 216より。

 

これを書いた坂崎明彦さんは『スバル技報』(むかーしの号じゃなければ誰でもPDFで読めるようになりました)の名物ライターとしてそのスジでは有名な人で、本業というか専門はシャシー設計。

で、画像の部分。

「初代プリメーラ」のフロントのアンチダイブに関する部分はフツーにナルホドとして、その前の段落のなかの

「クラッチ横ずらし」。

なんだろーこれ、と一瞬。

要はアレです。クラッチペダルを踏み込んだ左足を横へ(右へ、でしょうね。フツーに考えて)スパッとスライドさせて(ずらして)ペダルから離して、でもってクラッチをドンッと繋ぐ、と。

全体として、商業ライターのとはハッキリ違うエクリチュールがナイスです。


さっきと同じ坂崎明彦さんのやつの、別の部分。

いやー。

いいっすねー。



●2025年4月13日 YouTube デトロイト・ロッカー

デフとかLSD(クスリの、じゃないよ)とかに興味関心のある人なら

名前ぐらいは見たこと聞いたことあるでしょう。

デトロイト・ロッカー。


ストリートロッドやドラッグレーシング、さらには極限オフローディングやNASCARのほうでも長きにわたって愛用されてます。有名です。

でもその作動の仕組みについては皆さんしっかり誤解されてるようなので、ここでちょっとご説明いたします。と、こちらのお兄さん、かおじさんか、のジェフ・サクストンさん。

非常にナイスな説明でした。

デトロイト・ロッカーの作動の仕組み。

基本、左右直結。そのスジでいうところのスプール。

ただしアスファルト路面のようなハイ・トラクションな環境下で

左右の駆動輪の回転速度が異なると、

つまりコーナリング、カーブを曲がるときは

旋回外側の駆動輪への駆動がデカップル、つまり切り離されます。

一方その際、旋回内側の駆動輪はリングギアから直結のまま。

※ここでちょっと思い出していただきたいのですが、一般的な

オープンデフの場合、このような状況では旋回内側の駆動輪の

回転数はリングギアのそれよりも低くなります。

一方で、旋回外側の駆動輪の回転数はリングギアのよりも高くなります。その低くなったのと高くなったのを足して2で割ると

リングギアの回転数と同じになる……というのがセオリーですよね。

デトロイト・ロッカーのメカのキモって、要はワンウェイクラッチなんですね。あるいはフリーホイーリング機構。

リングギアの回転数よりドライブシャフト(どっちか一方)の回転数が高くなったら、なろうとしたら、そっちへの駆動を切っちゃう。

でもって、ただし、オフロードのような低ミュー環境では、この駆動デカップリングが起きないんだそうです。ということは常時左右直結で、トラクション的にバッチリ。

ほほう。


●2025年4月16日 YouTube プジョー204


こんなのが出てきまして

「ああ、そうだったのねー」と。

エンジンとトランスミッションが

上下2階建て。

プジョー204(1965〜)は乗ったこと(も現物みたことも)ないですが、

大川悠さんが

「犬のいい犬」って書いてた記憶が。



●2025年4月21日A 11年前

「11年前」のモリケータくん、

なんか一所懸命でナイス。

元記事

2014年4月21日

拾ってきた写真にイタズラ書き〜。



●2025年4月21日B 車名別輸入車新規登録台数の推移

ネタ元はJAIA

「車名別輸入車新規登録台数の推移(暦年)」1966年〜2024年

というのをみてるんですが、

たとえば。

1966年以降の登録台数が2024年に最高になったブランド

というのがあります。具体的には

アストン・マーティン

フェラーリ

ランボルギーニ

ポルシェ

これって、明らかに「兆候」ですよね。

あるいは「結果」か。

あとそう、忘れちゃいけない

BYDも、2024年の数字が最高です



●2025年4月24日 トレーリングアーム

我ながら絵がだいぶアレですが、

ビーエム3シリーズの、E36とE46の後ろアシ。

ご覧のとおり、ラテラルリンクは描いてありません。

ほかもいろいろアレです。

で。

なにを言いたいかと申しますと、このこれ、

英語だと、「センターポイント」なんちゃらなんです。呼称が。

なにが「センター」で「ポイント」かというと、

タイヤの接地中心点のど真ん前に、トレーリングアームの

ピボットの中心がある。

なので、後輪に前後方向の入力があった際、

純粋に前後方向(and上下方向)のみの変位が発生して、つまり、

トー変位はない。少なくともリクツ上は。

あるいは、トレーリングアームと車輪との関係でいうと。

というところが素晴らしいわけです。

そのために、この「トレーリングアーム」が、

こんなにグニャッとした形状になっているのです。



●2025年4月25日 シトローエン

シトロエンのトラクシオン・アヴァンの後ろアシに関して、『世界の自動車⑧ シトローエン』にはこう書いてあります(書いたのは大川悠さん)。


〈リアはトレーリング・アームと一対のダイアゴナル・リンクに吊られたデッド・アクスルで, 横置きトーションバーにたよっているが, ハブはアクスルチューブに対して軸方向に僅かスライドできるようになっていたため, 左右の片輪がもち上がった時は, 独立懸架に近い作動ができると説明されており, シトローエン自身これを半独立懸架と称していた.〉

はい。

ずいぶん前にここを読んだときはスルーだったというか、まあほとんど記憶に残ってなかったんですが、最近になってから読んで「んー?!」と。

「ハブはアクスルチューブに対して軸方向に僅かスライドできるようになっていたため……」をふくめてそれ以降のところがすごく、アレじゃないですか。気になる。「あーそう」では済まない感じ。

ということでググってみました(検索フレーズはcitroen traction avant rear suspension でした)。で、その成果がそう、下に見えてる添付画像でございます。

画像①は、「1935年5月より前のリアアクスル」。

画像②は、「1953年5月以降のリアアクスル」。

※「1935年5月より前」の図と「1953年5月以降」の図があって、じゃあなぜその間の時期のがないの?! という疑問はあります。

トラクシオン・アヴァンが出たのはたしか1934年で、1955年だったかにはDSが出ております。なので、②の1953年5月というのはモデルライフのかなり終わりのほう、ということになりますね。③は、②のさらに詳しいやつというか、透視図みたいな。

でその画像②なんですが、もっともわかりやすいところで、トレーリングアームが①のとは違ってます。

あと、③をみると、アクスルチューブ内にゴムブッシュっぽい部品があります(赤い矢印を描いておきました)。

これらからわかる、考えられる、ビフォーとアフターの違い。

簡単にいうと、アフターの特徴というかビフォーに対する違いは「タイヤへの前後方向の入力を(トレーリングアームとアクスルチューブ内のゴムブッシュの変形によって)いなそうとしている」です。

で。そのへんに関して

『世界の自動車⑧ シトローエン』での記述は

「ハブはアクスルチューブに対して軸方向に僅かスライドできるようになっていたため」

でした。

たしかにというか、画像③の当該部分を眺めると、「軸方向」にも「僅かスライド」はできる、するかもしれません。しなくもなさそうにも見えますが、でもアレです。

矢印の部品がゴムブッシュだとして(たぶん、きっと、そうでしょう)、その変形というかたわみが効くのは、設計者が効かせようと狙ってるのは、ほしいのは、この場合、「軸方向」よりもむしろ「ラジアル方向」でしょう(ホリゾンタル方向というか前後方向はトレーリングアームが伸びてくれる、ようにみえます)。

「ラジアル方向」のコンプライアンス。よりわかりやすくいうと、車輪のトー方向やキャンバー方向の変位です。で、それらが快適さのために必要なレベルを超えて違和感やコワさに繋がらないようにするための工夫も、画像③からはみえてきます。

えー、なぜ俺がこんな投稿をしてるかといいますと、キッカケはこないだの、ルノー16のYoutube動画です。Autotestの。

ゴムのたわみとかを使って前後方向のキツい入力を逃がしたい、いなしたいんだけど、ただしもちろん、車輪の保持剛性はしっかりさせておきたい。じゃないとまっすぐ走らないから。

そういうココロがよくわかる、後ろアシの設計。

ルノー16が出たのは1965年で、今回のこのトラクシオン・アヴァンの後ろアシ(アフター)は1953年。

「半独立」のリアアクスルの歴史はどこまで遡ることができるんだろう? というのもあります。俺はこのへん、つまりトラクシオン・アヴァンが最初じゃないかと勝手に思ってるのですが。

『世界の自動車⑧ シトローエン』の初版発行は1972年10月20日。

だからそう、いまから52年半ぐらい前ですね。

はっはっは。


●2025年4月27日 首都高

「首都高は壁があったりして怖いという声」。

俺の場合でいうと、都心環状線外回りの銀座の先から浜崎橋の右コーナーまでの間に、ミョーにおっかないコーナーが2つ、あるんです(「ミョーに」というのは、フツーに考えてハンドルきりゃ曲がれるに決まってるスピードと曲率半径だから、なのに、ということです)。

当該のモンダイへの対策として、どういう調整がされたんでしょうね。

で、すごくおもしろいのは、その

「ミョーにおっかない」2つのコーナー、

昔のクルマ(たとえばAE86重ステとか)だと、不思議なくらい、

ぜーんぜん、おっかなくないんです。



●2025年4月29日 Car Suspension

ガッコーを卒業して自動車メーカーに就職してシャシー設計とかの部門に配属される人らにとっては安部正人先生の『自動車の運動と制御』と宇野高明先生の『車両運動とシャシーメカニズム』

がどうやら2大教科書になってるみたいですが、

でもこれ、画像の物件。

ジュリアン・エドガーさんの本。

自動車のサスペンションに興味ある人は是非、

読んでみてほしいっす。

コドモの頃に『◯◯百科事典』みたいなのを夢中で読んだ経験ある人は少なからずいると思うんですが、これ、そのサスペンション版みたいな本です。

とにかく読んでておもしろいし、画像も豊富。

あと、英語がわかりやすい。

Over 120 years of ride and handling

とサブタイトルにありますが、ホントにそう。

アマゾンで買えます(ていうか、新品はアマゾンでしか買えないでしょう)。

あとそうジュリアン・エドガーさん、

快適な乗り心地を実現するためにピッチングをいかになくすか

っていうところにアツくアレしてるところがすごくナイスです。

 



たとえば、こんな。

クルマはベンツの190E

これだけでもう、ご飯3杯ぐらい、いけますよね。


さっきのと同じ画像です。すいません(「アナタは基本、しつこい」とヨシ江にはよく言われます)。

フロントのキャスターが10°40′(すげーな)

でタイヤはというと、190Eの標準サイズは185/65R15(たしかMXV3Aとかがついてました)。外径は621mm

側面視で転舵軸が車輪中心を通過していると仮定してアレすると、サインコサインタンジェントの計算で、キャスタートレールは58.5mmぐらいになるんです。

でもこの表をみると、「28mm」

ということは?

どっちラウフかわかりませんが、いずれにせよオフセットしてる、ということです。

側面視で、このクルマの転舵軸は前輪中心を通過しておりません。それ(前輪中心)よりもっと、後ろ側を通ってます。

フロントのキャスターが10°40′というのは

十分に「えーっ?!」てなる数値ですけど、

一方で、同キャスタートレールが28mm

というのはこれ、ごくごく穏当です。

フロントのキャスターを寝かす(角度の数値をデカくする)

理由、その正当性の根拠は

教科書的には「直進性がアップするから」で、

もっというと「キャスタートレールの値をデカくできるから」

だったりします。

でもそれが、このクルマの場合は28mm。

このへんのことをちゃんと説明してくれてる本は

たぶん、ないです